浮気と後悔
「浮気」と「後悔」をテーマにした、ある男性の体験談です。
結婚した彼女への後悔
若い頃に仲の良い女の子がいた。
彼女は義務教育を終えて専門学校へ進み、理容学校へ進学した。
私は普通高校へ進学し、将来を何も考えない学生生活を送っていた。
お互い学校を卒業し、彼女は寮がある理容室に就職、私は自動車会社へ整備士として就職した。
時々、お互いの近況を連絡しあった仲ではあったが、男女の付き合いをすることはないまま成人式を迎えていた。
彼女は飛び抜けて明るい性格で裏表が無く、人間的に大好きだった。
しかし彼女と連絡が途絶えて数年後、彼女のお母さんとばったり出会って「結婚」したことを知った。
正直、ショックで数日の間は食べ物が喉を通らない経験を初めてした。
当然ながら仕事に身が入らないため失敗の連続。
当時の自分は人生の中で最悪の時期を迎えていた。
なぜ、彼女と真剣に交際できなかったのか。
「後悔の念」だけがずっと重くのしかかっていた。
それが24歳の自分が体験した後悔の記憶であったが、まさか20年後に彼女と再会し、当時の気持ちをお互い話す機会があろうとは思っても見なかった。
SNSによる再会~彼女の浮気
SNSが流行って仕事上で利用する機会ができたため、通勤電車の暇つぶしに記憶に残る懐かしい彼女の名前を検索してみた。
驚く事に彼女の登録があった。
勇気を出してメールをしてみる。
1分も経たない間に返信があった。
「本当に●●なの?」
少々疑って驚いている事が理解できた。
そして、再び返信する。
「書道が得意で字が綺麗な○○ちゃん!元気かな?」
このメールで疑いは100%晴れて返信が届く。
「やっぱり●●だ!元気だよ!」
たわいもない世間話をメールで済ませ、すっかり昔のような空気感が伝わっていた。
週に何度かメールで連絡やバカ話をしていたある日。
「真剣な悩み」があると彼女から告げられた。
彼女の事は誰よりも知っていたつもりだったが悪い予感は的中した。
「旦那以外に好きな人がいる」
全く驚かない私。
何故、驚かないか?
幼少期から成人になるまでの全てを知った仲、彼女の好みから男性遍歴まで全て承知していたからだ。
私は彼女に幸せでいて欲しいと考えていた。
彼女を応援すると言葉にしながら、彼女が破滅の恋愛に拍車を掛け、離婚を望んでいることを理解して複雑な心境だった。
「後悔するぞ!破滅的で家族を敵にまわす行為だ」
真剣に忠告したが彼女は全く聞く耳をもたない。
昔から猪突猛進で頑固オヤジのような聞き分けの無さに、20数年ぶりに呆れる自分がいた。
時間をかけてゆっくり説得しよう、と自分に言い聞かせ、話題を変える。
話題を変えても話を戻す彼女。
どれだけ頑固なのか。
こちらが折れるしかない状況だった。
彼女の思いの丈を全て聞き入れ、肯定し、賛成する。
私的には不本意であったがそれに勇気をもらったのか、
「今夜、離婚を告げる!」と爆弾発言をする彼女。
もしかして彼女と頻繁にメールしている私に浮気相手の容疑がかかるのでは?と一抹の不安がよぎりながら、冷静に良く考えろ!と動揺する私。
興奮してイノシシ化する彼女の鼻息が収まった頃合いに、メールのやりとりからフェードアウトする。
それから数日間は彼女からのメールは無かった。
彼女からのメールが無くなって私の心配はピークを迎えていた。
彼女への浮気心と後悔
クリスマスを10日後に控えた寒い12月の午後だった。
あえて離婚話には触れず「いい天気だね」と白々しくメールを送る。
返信が無いと思いきや30分後に、
「出掛けてた!ういーっす」との返信。
軽い殺意と格闘する指先でメールを返信する。
「元気ならそれだけでいいよ。忙しそうだね!デートかな?」
少し悪意があった事は認める。
こちらの悪意にだけは敏感な彼女。
「妬いてるんでしょ~はっはっは」
今すぐ旦那に言ってやる!と心の中で叫ぶ私。同時に武装解除し、無気力感が心に広がる。
もう、彼女の心配はやめようと思い始めていた。
彼女と初めて知り合って34年が経っていた。
彼女の結婚で諦めていた彼女への気持ちが「動きだしそう」で自分に自信が持てなくなっていた。
心配する私を楽しんでいるのか?とさえ思える程の傍若無人なイノシシ。
結局、悩んだ末に「SNSを止める」と彼女に告げた。
必死になってSNSを止める理由を聞き出そうとする彼女。
こっちもそこそこ頑固なので譲らない!
しかし、頑固比べと粘り強さでは横綱の彼女に勝てる訳もなく、観念して20数回目の「言わない!」の返信を「分かった。言うよ」に変えた。
私は初めて彼女に出会ってから、ずっと彼女に気持ちがあった。
彼女が他の男性と付き合っていても連絡が時々あり「忘れられない人」になっていた。
小学生の幼い子供から大人の女性になって結婚し泣く泣く諦めた男心、後悔していることを正直にメールにつづった。
彼女は親しい男友達との感覚だったのだろう。
「またまた~冗談でしょう?」
真意を受け止められない様子だった。
彼女の幸せを思って離婚をさせたくない気持ち。
誰よりも心配して見守っていたい気持ち。
彼女とメールをしている時間が日に日に長く、彼女が家庭内で傍若無人にメールをしている姿を想像すると複雑な心境になっていたたまれない気持ちを伝えた。
すれ違いとタイミングは男女関係にはつきものである。
もし、20代に二人で出掛けた時に少しの勇気があれば「彼女と私の人生」は大きく変化していただろう。
当時の彼女は結婚願望が強く、主導権はいつも彼女にあったので持ち前のごり押しでゴールインしていた事だろう。
「どうして?20年も好きでいられるの?」
忘れられない彼女からの言葉である。
本当に好きな人は一生のうちに何人も出来ないと思う。
私の場合は「彼女」だけだったし、心の根っこの部分で何も考えずに好きな人は何人もいない。
12月29日にSNSを止めたのは彼女だった。
引き際もイノシシのように猪突猛進で、言いだしたら聞かない男らしさが彼女らしく微笑ましかった。
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